ケース作りに入ります。

ケースを作るに当たっては、そのデザインにとても悩みました。

石器時代の事を考えて、前作の様に革(バックスキン)で作っても良かったのですが、
儀式用ということでナイフ本体がコテコテに装飾しているのに、ケースがシンプルではバランスが取れません。

そんな時、たまたまネットで色々見てたら縄文時代の火焔土器の画像が目に入って、こ れに決定〜。
しかし、実際にナイフの大きさで火焔土器を作ろうとすると、とてもアンバランスな形に…。

火焔土器からは少々離れ、土器風に作ってみる事にしました。
ちょうど、うちの奥様が七輪陶芸などをやり始めたので、いっその事、本当の土器で作ろうかと思いましたが、
強度の問題や、ナイフ本体に傷が付きそう…。また、初めての事で先が見えない状況では、コンテストに間に合わない…!。
という事で、「土器風」に手慣れた「木」で作る事としました。

デザインは色々悩みましたが左から右へと変わっていきます…。
火焔土器01 火焔土器02 火焔土器03 火焔土器04

文様の配置や大きさに悩みました…。
火焔土器05 火焔土器06 火焔土器07 火焔土器08
こんな感じですが、これでも抜粋です。この間に数十枚書いてます。

木と言っても色々あるので、素材の選定には迷いましたが、赤みで硬い木で予算内(私の小遣いの範囲内)で収まるモノは…、
「花梨」となりました。

前置きが長くなってしまいましたが、以下、作製工程を照会していきます。
ただ、これも非常に長いので、本体の作製&組立と、文様の彫込み&仕上げの2つに分けて紹介します。

ケースは2枚の木を合わせで作ります。
2枚の色を合わせるため、長目の花梨材を選びます。これを2つに切って使います。
花梨材は幅70mmくらい、厚み40mmくらい、長さ400mmくらいの物を買ってきました。

先ずは本体の作製&組立です。



火焔土器1
先ずはお約束で、現物合わせでナイフが入る深さを決めて、鉛筆でケガキを入れていきます。

これを、もう一つの方にもケガキます。
火焔土器2
彫刻刀でザクザクと彫込んでいきます。
火焔土器3
かなり思い切って彫込んでいかないと、作業が進みません。
大胆に彫込んでいきます。
火焔土器4
とりあえずナイフが入るくらいになってきました。
火焔土器5
実際にナイフを入れて現物合わせで掘り進みます。
ただ、ナイフの方には色々と装飾した突起があるので、この装飾の当たる所をさらに彫込んでいきます。

あと、忘れてはいけない…、刃の部分も彫っていきます。

これで、一応ナイフが収まる様になりました。

簡単に書いてきましたが、これで2日間ほど掛かっています。
火焔土器7
2つを合わせた時に、8角形になるように角を削りました。
ただ、幅が70mmに対して厚みが40mm。これを2枚合わせると厚みが80mm(70X80)になってしまい、きれいな8角形になりません。ここでキチ ンと8角形にしておかないときれいな円柱を作る事ができなくなります。

ということで、厚みを約5mmほど削り落としています。
これで厚みも70mm(35X2)となり、きれいな8角形(70X70)ができます。

ここで削っている工具は、ボール盤です。高さを合わせて、エンドミル風のルータービットで削っています。
火焔土器6
本体の方と併せて、角の部分の部品も作製していきます。

本当は角となる部分も一体で作りたかったのですが、近所のホームセンターでは、その大きさの花梨がありませんでしたので、仕方なく角の部分は付け足しとな ります。

ただ、色味が合ってないとおかしくなるので、彫込んだ時に出た切りクズをホームセンターに持ち込んで、色合いを確認しながら買ってきました。

さて、この買ってきた物を4等分にしまして、角の中にある穴加工をする為に、ドリルで下穴を開けておきます。
ドリル径は5mmです。
火焔土器8
ちょっと仮組みしてみました。
火焔土器9
とりあえず、角の部分を加工します。
デザインのイメージに沿うように加工していきます。

ただし、ここで4つとも丸々同じように作ってしまうと、ナイフ本体の象嵌でもやった、「手作り感」が無くなるので、ワザと穴の大きさや、エグレ具合を変え て加工していきます。
火焔土器10
両サイドも丸みを持たせます。
これも、形が同じにならないように「良い加減」に加工します。

背中にふってある英字はどこに貼るか決めたためです。
4つとも木目の流れと色合いが微妙に違うので、本体の木目や色合いに合わせて貼る位置を決めました。

角の部分はここまでの加工で止めておきます。
火焔土器11
本体の加工に戻ります。

写真を撮り忘れていますが、上部(ナイフが入る方)の口の部分は角を取り付ける関係で、少し細く絞っています。

さて、本体の裾(下方)に絞りをいれていきます。
ただ、ここでいい加減に加工してしまうと、キレイに絞れずバランスが崩れてしまうので、1面づつキチンと加工していきます。

まずは当たり線を引いて、その通りに削っていきます。
火焔土器12
とりあえず、のこぎりでザックリと。
火焔土器13
2面分の絞りが削り終わりました。

余談ですが、ナイフ本体を入れた時、ロックする方法をアレコレ悩んでました。この段階ではまだやっていませんが、ナイフを入れて、右に(時計回りに) 90°回すとロックが掛かるギミックを後ほど加工します。
ただ、その加工のときの写真を撮っていないので…後に2つを張り合わせる段階で見て下さい。
火焔土器14
2面を絞り込んだだけなので、底面が長方形です。
火焔土器15
もう2面を絞ります。

底面が正方形になりました。
火焔土器16
これをバランス良く8角形の錐体にしていきます。

右が加工前、左が加工後です。
火焔土器17
まだ接着していないので、これだけ底面が細くなると、自立しなくなります。輪ゴムで止めて仮組みしてみます。
火焔土器18
先端(底面)に入れるクォーツの形を彫込みます。

クォーツはスモーキークォーツです。
火焔土器19
角の接着に入ります。

片方づつエポキシで接着します。
火焔土器20
片方が完全に固着したあと、もう片方も接着します。
火焔土器21
接着し終わりました。
正面から見るとこんな感じです。
火焔土器22
角の外側のカーブラインに合わせて本体の方を削って、自然にラインが繋がるようにします。
火焔土器23
改めて8角形の錐体に削ります。
火焔土器24
今度は角の横の所を本体と馴染ませます。
あくまで「土器」というイメージなので、それを損なわない様に曲面をキレイに成形していきます。

ここで、角の中が1つのくり抜きになっている事にお気付きでしょうか?。
火焔土器では2つに区切られていますが、このサイズで作るとしたら…指も入らないような穴の加工は無理ですよね。
という事で、1つの大きなくり抜きとしました。
火焔土器25
本体との接合部をキレイに馴染ませながら、角のくり抜き部分も削って肉厚を薄くしていきます。
ただし、あまり肉抜きし過ぎると強度が無くなるので「良い加減」で…。
火焔土器26
接合部も馴染んできました。

くり抜き部分の周辺部も加工しています。
火焔土器27
裏側から見るとこんな感じです。
火焔土器28
張り合わせ前にやっておく加工は全て終わったのでいよいよ接着に入ります。

ナイフを90°回転させて固定するギミックの溝彫りがわかりますか?。右の入り口近くにはスカルベ(黄金虫)が、左側の真ん中辺りには蛇の所に入れたレッ ドジャスパーが噛む様になっています。
刃の収まる所も90°分をくり抜いてます(このページの最後の写真を見てみて下さい)。

真ん中辺りにナイフに巻いたシニューが当たる所があるので、革を巻いて当たりを和らげています。でないとシニューがササクレ立ってしまいます。
火焔土器29
エポキシで接着します。
火焔土器30
接着完了後、下(底部)の所に革紐を巻く予定なので、その部分を削っています。
火焔土器31
45°回して見た感じ。
火焔土器32
角の下の8角錐の部分を、もう1つ削り込んで16角錐にします。
火焔土器33
デザインではチョットした文様のつもりでしたが、角と角の間が寂しいので、小さい角を取り付けます。

火焔土器34
接着終わって削りに入ります。

下の錐体の所に既に文様が書かれていますが、コチラは次のページで紹介します。
火焔土器35
組み立て終わったのを、正面からみたところ。

刃が90°回転できるように彫込んであるのがわかりますか?。

あと、小さい角の1カ所がチョット大きめで残してありますが、ここにナイフのスカルベ(黄金虫)を合わせるとナイフが入ります。


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